カントリーロードの連載終わっちゃいました。また、単発で書いたときには載せますので、たまに観に来ていただけたらと思います。

@カントリーロード掲載記事

2002年12月15日 第16号

あら、もう五年になりますか。

"浪速ッ子百姓になる" にこにこバラ園 伊丹雅昭

バラの栽培を始めて5年。そろそろ株が古くなり取替え時期です。およそ1万2千本の株。株苗には特許が付いて勝手に増やせません。(こんな小さな農場にまで増やしていないか時々見に来ます)1株300円、前部取り替えると株を植えるマット代(水耕栽培なので)も含めて400万円くらいかかることになり、その上、植え替えると4ヶ月くらいは花が切れないので収入がなくなります。なので、毎年、園の何分の1づつを入れ替えます。入れ替れなかった老株は、枝を落としたり、根を切ったり、栄養剤をやったりしながら働かせます。ここが農家の腕の見せ所、いろいろ本を読んだり、人に聞いたり、ちょっと試してみたり、農業はまさに研究開発型の企業です。植物にいろいろ手をかけたり環境を良くしてやる事で寿命は延びると信じて、色々トライしています。人間だって、石器時代から比べると今は倍以上長生きできるようになったそうですから。今は次の品種選びで迷っています。バラ屋の儲けは品種選びで決まると言われます。同じような花でも市場受けが良いのと悪いので何倍も値段が変ります。それから、つくりやすいかどうか、本数が切れるかどうか、、、等々、いろいろ考えなければなりません。私の場合は消費者に直接売ることも多く、とにかく種類を多くしようと言う方向で選んでいます。昔の切りバラ用バラは香りか弱かったのですが、この頃は香りのあるのも出て来ました。シルクフラワーに対抗するにはやっぱり香りでしょうか。花瓶の中で日持ちしてちゃんと咲いてゆくと言う事も大切です。にこにこバラ園のバラは"つぼみは小さくても日持ちしてちゃんと咲く"というのが売りです。変ったバラをという要望も多いので、色合いだけでなく花の形もオールドローズのような(昔からの切りバラ屋は形が悪いと嫌うのですが)剣弁でないタイプも面白いかと思っています。毎年百以上出る新品種と既存の品種のなかからこれだと言うのを探し出すのは面白い仕事です。皆さんはどんなバラがお好みでしょうか、営業用のバラは冬でも咲く四季咲きバラでないといけないので、オールドローズ系はむづかしいかもしれませんが、色々気軽にお聞かせください参考にいたします。バラ農家は選ぶに、つくるに、売るに、ホントに大変ですが、それぞれ楽しく、一生やって行く価値のある職業だと思います。須賀川に来てからたった5年ですが道路も変ったし、街の景色も変りました。私にも娘が2人でき4人の子持ちになってしまいました。カントリーロードにも新顔が入ってきました。他の人の原稿も載れるように、この連載もひとまず終わりにいたします。今度からは単発で投稿するつもりです。長い間有り難うございました。


2002年4月28日 第15号
なにわっこ百姓になる にこにこバラ園 伊丹雅昭

農家の顔はどんな顔

自給自足、身土不二、地産地消、とは言うものの、同じ物ばかりを食べるのは嫌、冬でも漬物以外のものを食いたいと思うのが人情。そんな訳で、交易が起ります。野菜作っている人が魚を買うには海に行かねばなりません。でも、遠いから時々みんなで集まって売り買いしようと市ができます。昔、社会科で、習いました。そんな自分で作ったものを自分で売っていた頃まではお互いのことも良く判って、生産者と消費者は顔の見える関係だったはずです。効率をよくするために、お金ができ、商売人ができ問屋ができ交通が発達し、大量生産、大量輸送、大量消費するようになり、いつでもどこでも、お金さえ出せば物が簡単に手に入る巨大な生産、流通、消費システムが出来上がりました。誰の作ったものか判らなくなり、誰が食べるのやら、いつ捨てられるのやら。いい物かどうかも綺麗にパッケージされていてブランド名や表示位からしか判らなくなりました。巨大システムを維持するためには相当のお金が必要なので、生産者が売る価格から消費者が買う価格までに大きなマージンが必要となります。消費が伸びているときはこのシステムはうまく動き、みんな満足ゆく暮らしが約束されて幸せでした。でも、今のように消費が低迷すると、デフレ圧力は小売り、仲買と来て、生産者を赤字経営に陥れます。ブランドや表示の信用システムも心もとなくなってきました。まじめにこつこつやっても、飯が食えないようになってきました。システムが揺らぎだしました。一体全体どうしたらよいのでしょう。複雑なことは良くわかりませんが、こういう時は社会科の始めの頁に戻って顔が見える関係を取り戻すのがいいのかもしれません。幸いにコンピューターと運輸交通網も発達しました。個人や小さな組織でも効率よく遠くの人と情報のやり取りをして顔の見える関係で売買ができるようになりました。にこにこバラ園でも農業生活の生き残りをかけて、花市場に出すだけでなく、通信販売、軒先販売を始めています。コンピューターをつかっているとはいえ効率化の進んだ従来のシステムに乗っかるよりはるかに時間がかかるので、仕事は農作業、出荷作業が終わったあと、深夜にまで及びます。クレームも直接自分のところにきます。でも喜びの声も直接届きます。良かったこれからも頑張ろうと嬉し涙が出ます。いろんな言葉に励まされたり勉強させられたり。今度、カントリーロードでも頒布会を始めることになりました。自分の作ったものには自分で責任を持つ、そんな農家の気持ちを味わってみてください。にこにこバラ園も参加しています。どうぞよろしくお願い致します。


2002年1月20日 第14号
浪速っ子百姓になる。   にこにこバラ園 伊丹雅昭 
「冬」
未来博も終わり、テロあり、狂牛病あり、不景気な話ばっかり。農業もまた一段と厳しい状態になりました。バラも、業務重要は減り、輸入品に押されっぱなし。どんどん先輩のバラ農家が辞めていきます。冬のオランダはいつも曇っているし、ソウルは福島より寒い。何で、韓国、オランダのバラが航空運賃を払ってあんなに安く入ってくるのでしょう。日本の小さな農家がその値段でだしたら、原価割れします。近頃は冬でも市場の単価が上がらないので、冬に重油代かけて作っても赤字。冬は、お休みにするところが増えています。でも、休んでいても経費はかかりやっぱり赤字。だから、前向きに冬でもバラを咲かせ続けています。コストを落とすといっても、かかるものはかかり、あまりコスト削減ばかりでは良いバラが咲きません。で、この冬は切花の本数が増えるように色々挑戦しています。日本のバラの反収はオランダの半分といわれています。どうにかして、オランダくらいまで上げるために、文献を読んだり、人に聞いたり。でも、よくわかりません。栽培方法は企業のトップシークレット。簡単に教えてくれる訳ありません。教えてくれたとして、自分の畑の環境に合わせての調整が必要です。結局、自分で試行錯誤していくしかありません。実験用の温室があるわけでなし、栽培用の温室で実験。これは怖い、失敗すれば、そのまま生活に響きます。温度管理、水耕溶液の管理、樹形の管理、CO2の管理、農薬の選択、葉面散布材の選択、などなど、いろんな要素が混ざり合って、頭はオーバーヒート、胃が痛い状態が続きます。計測機器もあまり持っていないから、最後は勘で。実験結果は早くて2週間、遅くて3ヶ月ほど。その中に、気候の変化あり、お天気の良し悪しあり、株の老朽化あり、どれが本当に効いているのやら。時間のかかることです。でも、やらなきゃ始まりません。こつこつデータを集めていけば何年か後には、バラの気持ちが判るようになるのかな。いい方法あったら教えてください。情報待ってます。

2001年8月12日 第13号   に載るはずでしたが、今回は原稿が多くて没になってしまいました。でもここには乗せておきます。
  
浪速っ子百姓になる。   にこにこバラ園 伊丹雅昭 

"もったいない。"の お話

子どもの頃、「全部食べなさい。お百姓さんが苦労して作ったものです。もったいない、目が潰れますよ。」と言われたものです。分かり易かった。時代が変わると、"もったいない"も変わります。特に経済性という考え方が優先するようになってくると。お腹がいっぱいだったら無理して食べるな。お腹を壊すと、医者代がもったいない。賞味期限過ぎたら捨てましょう。食中毒で医者にかかると、時間がもったいない。高い野菜を買って沢山時間をかけて料理を作るのは時間も金ももったいない。お湯を入れたり、チンしたり、ファーストフードの方が安くて時間も短縮。おやつも買った方が何重もの袋に入っていて清潔だし、安いし、自分で作るなんてもったいない。遊びも、自分で考えるよりTVゲームの方が皆とすぐ遊べるし、練習しないでも拳法の達人、サッカーの名人になれる。時間かけるなんてもったいない。勉強も人の言うこと覚えていたら、自分で考えるよりずっと簡単。時間短縮。一生懸命分からないことに悩むなんて時間がもったいない。外国から安い農産物が入ってくるのに日本で作るのはもったいない。花も、造花のほうが安くて長持ち。家電も、服も、家も、車も、なんでも修理して使うより新しいもの買うほうが安いしきれい。手を入れて使うなんて時間はかかるしもったいない。もったいないことは、大嫌い。賢く生きてゆきましょう。もったいない、もったいないで1世紀。振り返った有る日。畑や田はなく、作物を作る人々もいなくなった。塩分の取り過ぎと、カルシュウム不足でいらいらして、考えもまとまらず、寿命も短くなった。亜鉛不足で子どもができず、若い人々も減った。新しい難局を解決ししようしても、マニュアルもないし考える頭脳もない。昔は考え方もやり方も多種多様、色々あったのになーと懐かしむ日々が来るのでしょうか。未来がもったいない。もったいないから農業は重要文化財として残しましょうか。とっぺんぱらりのぷ。


2001年5月1日 第12号
バラ農家、商売人になる。
にこにこバラ園 伊丹雅昭
農産物の値段の下落が話題になっていますが、バラも例外では有りません、韓国などの輸入品が増えた上、不景気で業務重要が減り、毎年市場価格は下落の一途です。栽培法を研究して増産に努めても下落の速度に追いつきません。バラ栽培は(他の農業もそうかもしれませんが)結構お金がかかり、私の規模(20a)でも経費は年間一千万円を簡単に越えます。それに見合うだけの売り上が必要なのですが、市場出荷だけでは食って行けないのが現状です。その為、たくさんのバラ農家が辞めて行きます。今年、福島県バラ研究会の会長になったのですが、この会も5年前は30人以上いたのですが、今年は12人位になりそうです。新規就農者は、全財産+借金で始めていますので、辞めるという選択肢は有りません。コストを下げるために、規模を拡大する余裕もありません。残る手段は、単価を上げるために自分で売るということです。幸いなことに、バラは日保ちしません。農家から直接買うバラは長い流通を経た物と比べ倍ほど日持ちします。夏場店頭のバラが3日位持つ時は6日位、冬場普通のが1週間位持つ時は2週間位持ちます。このメリットを生かさない手は有りませんので、通信販売をはじめました。おかげで、事務仕事が増えて仕事の量は倍になりました。簡単なラッピングをしたり、簡単なアレンジ作りも始めました。ハレの日には花屋さんで花束を(レストランで外食するようなものです)、気軽にバラを楽しむには農家の直販。今までの実績で、沖縄から北海道まで、お届けしました。Smiling roses from Happy Island (にこにこバラを福島から)。ネオファーマー(新規就農者?)の生き残りを賭けた挑戦はどんどん続きます。お問い合わせは TEL/FAX:0248-72-7834 または http://www4.ocn.ne.jp/~nikobara /まで。


2001年2月13日 第11号
エコエコ農業
にこにこバラ園 伊丹雅昭 
1年中バラを作っていて、頭の痛いのはこの時期の暖房費。今年は特に、雪は積もる、寒い、重油代上がるの3重苦。暖房効率を良くするためにハウスの側面のフィルムを4重にしたり。材木屋さんや農家の方から木をもらってハウスの内で焚いたり、温度設定をこまめに変えたり。とにかく色々やっています。日照時間も短いので、400Wの風力発電機もつけてライトを点し、発芽促進に使っています。肥料も高いので廃養液を貯めるタンクをつけ滅菌装置を置き、元の水耕養液に戻す装置を整えつつあります。動力燃料費や肥料費を節約する為のこういう工夫は、化石燃料の使用を減らしたり、排水汚染を少なくしたり環境に優しい農業への工夫にもなります。しかし、設備が高い。お金がないので、ドラム缶をもらってきてウッドボイラーを作ったり、壊れた井戸用のポンプを拾ってきて修理したりと、頑張っていますが、作れないものは買わなきゃいけない。環境に優しい農業をするにはお金がかかります。農産物価格がどんどん安くなっていく昨今、生産者にとって環境に優しい農業をするには、優しくない環境だなーと、恨めしく雪空を見上げるのでありました。


2000年12月1日 第10号
インターネット的危機管理
にこにこバラ園 伊丹雅昭 
中央管理コンピュターで、情報や命令を管理していると、そこやそこに繋がる幹線が攻撃されるとどうしようもなくなります。そこで、自立していて且つ情報を他へと受け渡しできるコンピューターを、たくさん設置することでそのリスクを回避しようとアメリカ国防省が造ったシステム、それがインターネットの始まりだそうです。効率は犠牲にしてもリスクを避けるという発想。食料、生活についても同じ事が言えないでしょうか。効率化だけを考えた一極集中はその場所やそこに到る経路が壊れると、ひとたまりもありません。農産物も、多くのものは、地方から一度東京に集められた後、地方都市へと運ばれていきます。あるいは東京近郊の大きな港や空港の在るところに輸入され、地方へと送られます。危機管理を考えると、小さな地域単位で、自立できるほど食料を作り、エネルギーを創り、それをネット(流通網,情報網など)で繋いで、お互いが過不足を補いながら全体でバランスさせるほうが安全です。技術の進歩はネットワークで全体を繋ぐことを可能にしました。具体的には、せっかく作った農産物を東京に出して、戻ってきたのを食べるより、須賀川で取れたものは最初に須賀川で食べて余りを足らない場所に出荷する。風や、太陽で起こした電気。剪定した木や廃材をつかった燃料。糞尿、生ゴミで造った可燃性ガスや肥料。それをその地域で使う。そんな小さなことを少しづつ始めて行くことが、インターネット的危機管理術の第1歩だと思います。



2000年8月1日 第9号
アイ、ピー、エム???

にこにこバラ園 伊丹雅昭 伊丹涼子
IPM(総合的有害生物管理)って、聞いたことがありますか?虫や、菌を農薬で徹底的にやっつける従来の防除法に対して、出てきた考え方です。天敵でも、フェロモンでも、虫取り紙でも、網でも使えるものはなんでも使って、その上で、必要最小限度の農薬も使い、作物に悪さをしないくらいに虫や、菌を押さえ込むという方法です。天敵防除は、たとえば、ハダニを食べるダニを、買って撒きます。でもハダニが多すぎると退治し切れなくて効かないし、温度や湿度で,天敵と害虫の優勢,劣勢が入れ替わったり、その辺の塩梅が難しいそうです。植物に含まれる天然成分で、害虫が食べると、食欲がなくなり、ダイエットしすぎで、死んでしまうというものも、有ります。(ただ今、バラ園で試験中。効いているような気も…)オランダ辺りでは農薬だけを使うより費用も安くなってきたと聞きます。農薬を一番使いたくないのは、まく時に多かれ少なかれ農薬をかぶっている農家自身です。だから身体と自然に優しいこのような防除法が研究されつつあるのは嬉しいです。早く、簡単に天敵を買えるようにならないかなー。


2000年5月1日 第8号
21世紀の夢。〜農家編〜
にこにこバラ園 伊丹雅昭
夢のお話。明日、収穫できそうな野菜の個数と値段をインターネット上の自分のお店に書いておくと、注文が来て、売り切れたらおしまい。売れ残りそうだったら、ちょっと値段を下げる。時間になったら店じまい。次の日、朝とった野菜を運び屋さんが取りに来て、その日の内か、次の日に買い手に配達してくれる。まさに新鮮野菜。入金は、運び屋(実は銀行もかねている)さんの携帯パソコンにパスワード(指紋認識かもネ)をいれて、支払完了。もちろん、バラもこのシステムで直接消費者に。農産物は消費者が生産者を選んで買うのが当たり前。日本全国、お気入りの生産者がいれば、少々遠くっても、ご指名で、買っちゃう。カリスマ農家なんか、テレビの取材ばっかりで、"忙しくて農業できませんなー"なんて言いながら、畑を耕している。"予約は1年先まで詰まってるから、早めにね、キャンセルあったら教えます。"とか言っている。農業残さや家庭の生ゴミは各町にある発酵タンクに入れてガスにして、分量だけもらって来る。そのガスでボイラー焚いたり、電気を発電したり。農地や家には風力発電機や太陽光発電機。家で使ったり電気屋に売ったり。そんな人や、そんな地域が増えていき、エネルギーと食料問題は、"そんな時代もあったねー"なんて、笑っていたら、目が覚めた。"明日の市場、値段少しはあがるかなー。。。。。"考えると、寝むれなくなる。焼酎飲んでもう一回寝よ。


2000年2月14日 第7号
バラ農家のある一日
にこにこバラ園 伊丹雅昭
バラ農家、貧乏暇無し、1年360日労働。ある日の1日。6時半過ぎ起床、朝飯喰って、Eメールを開ける。仕事の段取りを考えて、子供を保育所に送って、農場に。9時、パートの人と一緒に花切り、選花、。10時半休憩。パートさんは脇芽とり、私は雑用をこなす。妻が、赤ちゃんとご飯を持ってくる。通販用の花束を作る。(主に関西、関東に輸出)12時、パートさんが帰ってから、昼飯。とっとと食べて、農協への出荷準備、妻が赤ちゃんと一緒に出荷にでる。私は、他の市場へ出す準備、終わった頃、宅配便が取りに来る。妻が帰って来る。花束の箱詰め。みんな持って保育所に寄って家に。妻は伝票づくり、私はご飯づくり(いつもじゃないよ)、子供は風呂。で、宅配便に持っていってもらったら一息。ご飯が終わって、子供の相手、この間に妻が出荷予定の入力。で、10時過ぎ子供を寝付かせ、ホームページをいじくって12時おやすみなさい。サラリーマンの時より忙しいかも。。。。。。


1999年12月6日 第6号

エネルギーは高こおます。
にこにこバラ園 伊丹雅昭
大根1本作るのに、江戸時代の10倍(運送、農薬製造なども含めて)もエネルギーがかかるっちゅうことです。バラ農家やってますけど、ほんま、施設園芸はエネルギーぎょーさん使います。(光熱費の支払いが毎月きついきつい、特に冬は)。環境のためにもなんとかならんかいな。地球が受ける太陽エネルギー1時間分は、今、人類が1年に使うエネルギーに相当するそうですわ。これを使わん手はないやろと、太陽電池だの、風力発電機だの(太陽のエネルギーは風も生みます)の情報を集めてますが、まだまだ値段が高こおます。100w(電球二つ点けれます)発電できる太陽電池や、300w発電できる小型風力発電機がおよそ10万円。なかなか手が出よりません。でも、どっかから、始めなあきませんさかい。もし手に入れることができましたら、あとで、ご報告したいと思てます。
(大阪弁で書かせてもらいました。)  "


1999年7月26日 第5号
憧れの田舎暮らし?
伊丹涼子(にこにこバラ園)
田舎でのびのび子育てしたい!が、そもそもの始まりでした。あー憧れの田園生活と思いきや、現実は甘くなかった・・。車が怖くて、外遊びもままならないし、日曜日も出荷で、遊びにも連れて行けず、親子でハウスへ。5才の次男はまだカエルに喜ぶけれど、小2の上は、そろそろ卒業らしい。バラ作りも難しいけれど、売るのはもっと難しい…。脱サラして農家始めて、広告のコピーに悩むとは。憧れの田舎暮らしとはちょっと違うぞ。でもハウスから眺める景色は最高。野菜植えたり、焼きいもしたり、家中にバラを飾ったり、やっぱり千葉でできなかったこと、たくさんあります』

1999年4月26日 第4号
エネルギーと食料と農業
伊丹 雅昭 (にこにこバラ園)
一日2000kcal食べれば、人は生きていけると言います。灯油にすると250ml。お金に換算すると8円足らずです。生物はエネルギーを効率良く使います。それでも、使えばなくなりますので補給しなければなりません。休みなくエネルギーを地球に注いでくれる太陽。このエネルギーを使うため太陽光発電や、風力、波力、潮力発電などが考えられていますが、植物を植えて育てるのもひとつの方法です。植物が受け取った太陽エネルギーを動物が食べ食物連鎖が始まります。4〜5億年前から受けつづけたエネルギーを抱いて植物は石炭となり、動物,微生物は石油となりました。今は,その太陽エネルギーの貯金箱をあけてどんどん使っています。エネルギーの消費量は膨張しています。省エネが必要です。そして、貯金箱にエネルギーを返すことも始めなければ行けません。効率良く光エネルギーを捕まえることができるのは植物です。植物は光と二酸化炭素を使い、燃やすことのできる炭素化合物を作ります。どのようにうまく光エネルギーを受けさせ、植物に蓄えられたエネルギーをどのように使っていくのか。農業は、食糧の問題だけでなく、エネルギーの問題にも深くかかわってきます。地球のことを考えるために農業と生物を考える時代になってきました。


1999年2月22日 第3号
もっと光を

伊丹雅昭 (にこにこバラ園)
植物は光で育ちます。温度はボイラーでなんとか出来ても、光は、太陽が頼りです。福島は緯度が高い。12月は昼が短く、花芽が立ち難く、ボイラーの回る時間が長く燃費がかかり、仕事の出来る時間も短い。早く冬至が来て太陽が復活してこないかと待ちわびる日々でした。正月が過ぎ、寒いとはいえ昼間は確実に伸びていきます。日中のハウスの温度は上がり、バラの芽が起ってきました。"春よ来い、春よ来い。"こんなに春が待ちどおしい事はいままで有りませんでした。都会で働いていたときは、季節は"着ている服装の違い"くらいでしか有りませんでした。今は、季節の移り変わりを身体全体で感じます。毎日休まないで昇る太陽に感謝。


1998年10月19日 第2号
農業は地道な博打か???
伊丹雅昭 (にこにこバラ園)
食べ物を作る大切な産業。愛情を持って育てるほど実りが豊かになる。農業って地道だなー、まじめだなーと思って、農業にあこがれている人もいることでしょう。さて、8月、愛情をこめて育てたバラが初出荷されることになりました。切れるわ切れるわ、1000本出荷、さー幾ら。暑い時は花は買われないらしく値段はさっぱり。9月に入り、値段はうなぎ上り。ところが、今度は花が切れない時期に。市場の相場は怖いなー。私の祖父は、大阪からわざわざ東京の兜町に出て株をやっているときに関東大震災に遭い亡くなりました。何で、博打的なことを生業にしようとしたのか、と思っていましたが、なんのことはない、農業はまさに博打。毎日の天気と相場で運命が変わります。戦々恐々。

1998年7月24日 創刊号

「浪速っ子百姓になる。」
にこにこバラ園 伊丹雅昭
大阪のど真ん中に生まれ、吉本を子守歌に、繁華街のネオンを見て育ったコテコテの浪速っ子。商売人の父親のその浮き沈みの激しい人生を見て、「こらあかんわ!」と思い、地道な研究者で食ってくべく好きな生物と化学の勉強をしました。(なんでかって?そら、知識は、どんな借金取りが来ても取って行けないからです。)造船学科も卒業しましたが、やっぱり生物、と思い、発酵工学科(酒、味噌造りのお勉強をするところ)に入り直し、めでたく、外資系の酵素会社(千葉県)に研究職として入り込み、細菌やかびの培養をやっていました。たった一人の同期入社が今の奥さんです。本社のあるデンマークに家族で半年暮らし、農業国の底力を感じ、考える余裕を与えないような日本の都会の忙しさを疎ましく思い、女房と二人、田舎に住んで農業をしようということに決めました。自営業。経営もすべて、責任を持たなければなりません。それがいやでサラリーマンになったのに、と思うと、これはまさに、血(家は、代々自営業だった)のなせる技なのかも知れません。そして、ご縁があって、須賀川に来て1年。薔薇作りの勉強をし、土地を探し、お金を借り、ハウスを建て、苗を植え、今やっと、職業は、と、聞かれて、「農業です。」といえるようになりました。どんな百姓になることやら。乞うご期待。